加藤2024『文化財の不正取引と抵触法』
加藤 紫帆 2024『文化財の不正取引と抵触法』信山社
最近、近くで働く友人にその存在を教えてもらった書籍である。
「本書は、筆者が、2018年3月、名古屋大学から博士(法学)号を授与された学位論文「国境を越えた文化財の不正取引に対する抵触法的対応:グローバル・ガバナンスのための抵触法を目指して」を基礎として、同大学の紀要に公表した拙稿をまとめ、軽微な加筆修正を行ったものである。
盗掘や盗難、略奪により国外に流出した文化財の回復という問題は、長らく国際社会の課題となってきた。文化財の由来する国家や元の所有者が、盗取ないし不法輸出された文化財を取戻す方法としては、当該文化財が所在する国家などの裁判所において、民事訴訟を通じた返還請求を行うという途が考えられる。