岡村2017『雲岡石窟の考古学』
岡村 秀典2017『雲岡石窟の考古学 -遊牧国家の巨石仏をさぐる-』京大人文研東方学叢書3、臨川書店
「雲岡石窟の調査は、日本の中国侵略にともなってはじまり、日本の敗戦によって終結した。いくら純粋な学術調査であるといっても、わたし自身わだかまりを払拭することはできなかった。中国の研究者にとっては、なおさらのことだろう。しかし、人文研の所蔵資料を広く公開し、人文研と中国社会科学院考古研究所との共同編集による『雲岡石窟』全20巻42冊が中国の科学出版社から出版できたことにより、ようやく真の日中学術交流が開かれたように思う。それはまた、人文研と北京大学の両方で研究した自分の責任でもあった。」(274.)
読書とは、一般的にはその本に何が書かれているのかを知るために読むものだが、そこに何が書かれていないかを知るためになされる読書というものがあることを学んだ。
本書では、筆者の述べる「わだかまり」とは何なのかについて、記されている箇所を見いだすことが出来なかった。
木下 杢太郎こと太田 正雄が1920年に雲岡石窟で人目をはばかって仏像の修復痕跡を剥がしていたことなども、当然のことながら記されていない。
第1考古学と第2考古学の懸隔を痛感する。
